コトナル#003 閒‐あわい‐のメールマガジン
2. 綴じて、開く - 「出版」の最小単位へ/から
2023年10月2日配信のバックナンバーです
みなさま
こんにちは。鈴木悠平です。今日は9月32日…ではなく10月2日ですね。毎月末に配信するぞと言いながらまた遅刻です。確実に気温は下がってきていてもうこれは「秋」と言って差し支えないのだろうけど、暑がりなのか疲労なのか病気なのか、まだまだ私は生きも絶え絶えに汗をかいています。
62名のメールアドレスが宛先に入っています。新たにご登録いただいた方、ありがとうございます。
千歳烏山病院(月イチ通院先)のエントランスでカタカタ打ってます。(大病院は待ち時間がどうしても長くなりますね。11:00予約で、10:45受け付けで、いま12:30で、まだ呼ばれてません。メルマガできました。送信したあと、診察に呼ばれ、先生とお話し、会計の待ち時間でブログへの転載作業しています、なう)
友人のアーティスト、中野目 崇真(Souma Nakanome)さんが撮った写真をメルマガのキービジュアルに使わせてもらうことになりました。わーい、ありがとう。(写真の上の文字は僕がKeynoteで入れたもので、出来不出来はさておき、とりあえず)
「コトナル」というメルマガの題は、異なる/個となる/co-となる(協働)/隣る、の言葉遊びで付けました。崇真さんがイメージする「閒」や「コトナル」っぽい写真を何枚か候補で出してもらって選びました。山梨のフルーツ園にある池の石と水面に映る石と空の写真だそうです。孤島のように見えて独り/ひとつで孤立しきっているのではなく、世界と繋がっているイメージが喚起されます。
8月からどうにかはじめたこのメルマガ、デザインもなにもあったもんじゃないテキストベタ打ちBCC送信なのですが、ちょっとずつ読みやすくしていけるよう毎回工夫していきます。どうぞお付き合いください。MailchimpとかSubstackとかtheLetterとか配信サービス導入したい。
もうひとつ改善点、「目次」つくってみました。書き下ろし読み物的なもの2つ、一ヶ月の活動報告とか振り返り的なもの1つ、10月以降のイベント等お知らせ的なもの1つ、という構成です。
というわけで第3号です。
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1. 傷んで、創って、身を満たす
2. 綴じて、開く - 「出版」の最小単位へ/から
3. この1カ月ぐらいのこと(報告)
・9月に閒の仲間たちと公開したブログ7本(日記・詩・短歌・エッセイ)
・「障害学会第20回大会」ポスター発表
・黒木萌さんがエッセイ集『祈り』をKindleで出版
・NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会第19回年次総会
・ナラティヴと質的研究会
4. これから1,2カ月のこと(お知らせ)
・10/26〜10/28「障害学国際セミナー 2023」@ソウル・10/29 13:15〜18:15 「インターミディエイターフォーラム」@東京&オンライン
・第2回「刑務所アート展」に向けて
・ニッポン放送(FM93、AM1242)「ウィークエンド・ケアタイム『ひだまりハウス』~うつ病・認知症について語ろう」
・映画『アリスとテレスのまぼろし工場』
・11/25 17:00〜18:30 山本譲司『累犯障害者』Zoom読書会━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. 傷んで、創って、身を満たす
昨日、用事で出かけた帰り道(ちなみに行きの道中で財布を落とした。見つかった)、動悸息切れがひどくなり、電車の優先座席すみっこで深呼吸を繰り返しながら、どうにかこうにか家に帰り、Slackに「満身創痍」と打ち込んだとき、「満身創痍」の「創」は「創造」の「創」の字なのかと気づき、いいじゃないか、と思いました。
これに気づいただけでもメルマガ配信が遅れた価値があったというものです。
熟語と漢字の成り立ちをググってみた。「満身」は身を満たすの字の通り、「全身」という意味で、「創痍」はもともと刃物や銃で受けた傷を意味するそうです。で、「創痍」の「痍」だけでなく「創」の字にも「傷」という意味があるそうな。
創造というのは痛みや傷から生まれる/を伴うものであり、あるいは痛みや傷そのものでもあり、にもかかわらず/だからこそ、わたしの身体を/世界を満たす/つくりかえる行為です。きっと。
9月はここ5年(適応障害の診断を受けて以来その後の悪化・追加さまざまあり色んな名前や症状の「病気」と共に生きる身体になって以来)で、3本の指に入るぐらい心身ともに弱り痛みしんどかった1カ月だったかもしれません。夜眠って朝を迎えるまでの時間以外の3分の1ぐらいは家族と&介助に入っている友人と衣食住のあれこれをして過ごし、3分の1ぐらいは息も絶え絶えに横になったり涙を流したりしており、残り3分の1ぐらいで、どうにかこうにか、書く読む編む調べる人と合う事務をする企画するetc.の仕事・活動をして、という感じでした。
と同時に、にもかかわらず/だからこそ、回復と創造の芽生えと展開があった1カ月でした。
世界との、他者との、仲間との、大切な繋がり、信頼を、ひとつずつ確かめ取り戻し結び直しながら、ひとつずつ未練や執着を手放していく。これまでもこれからも、ずっとそうだと思うのですが、それをより一層感じる1カ月でした。
「金魚」という題で詩が出てきました。先月に続いて2つ目。
これから少なくとも月に2回は、「外部」からお題をもらってかく、ということを続けようと思います。
友人であり、ヘルパーとして介助にも入っている、愼 允翼(しん ゆに)君が、千葉県船橋市の母校を訪ねた日のことをエッセイにしてくれました。名作です。
"先生は「頭脳労働」だの「自律」だの大人向けのご大層な理論よりも、眼の前の私に対する実践を優先してくれたのだ。そのことは、理科室の机に広げられたI先生の学級通信に記された教育哲学が証明している。「経験から得た自信が、次のステップへつながるエネルギー源になるのです。自分自身で、いろいろな知識や技術を獲得し、考え、つまずき、失敗をくり返しながら、なお真っすぐに伸びていこうとする。それが、本来の子どもの姿なのではないでしょうか」云々。そのとき、か細いけれども確かな運命の糸が、黄金に輝いて私の中に無数に伸びているのを確かに感じた。”
居合のお師匠でもあるお友達が海外に拠点を移すというので、最後(ではないけど節目)のお稽古を受け、毎朝3回、「納刀」動作だけを欠かさず続けています。呼吸が整います。(そのうち動画や写真やテキストをブログにします)
2. 綴じて、開く - 「出版」の最小単位へ/から
前号に続いて「出版(publishing)」の話。
一人ひとりの「生活創造」の方法として、著者にとって、像としても数としても経路としても具体的かつ現実的に描ける読者に向けて(しかし常に、少しの偶然と拡張の余地を持って)、最小の(必要十分な)単位での出版というのは可能だろうと、考え、ちょっとずつ、手を動かしています。
友人の島影さんが、Webに書いたものをほぼそのままWordとかに流し込んでKindleで出すということをすでに行っていて、https://note.com/keisukeshimakage/n/n284512c33bd1 https://keisukeshimakage.stores.jp/?all_items=true先日方法を教えてもらい、僕はまだその作業の途中なのですが、今は本当に「出版」が技術や元手なくとも可能になっているようです。
そんなやり取りをしていたら、仲間の一人、黒木萌さんがさっそく一番乗りでこれまでnoteに書いたエッセイを『祈り』という題でKindle出版しました。さすが早い。僕はまだです。
「文フリ」という、手作り本(ZINEとか)の販売イベントが毎年あるようで、僕は名前だけ知っていたのですが、来年1月@京都に向けて、みんなでエントリーして出展しちゃおう!となりました。ネタはもうブログに色々あるんです。我々に必要なのは締切だ。
連載もの「介助とヒーロー」https://awai.jp.net/kaijo-hero 「土に呼ばれて」 https://awai.jp.net/tsuchi 「令和タクドラ日記」 https://awai.jp.net/reiwa-taxi この3つは少なくとも近いうちに出版します(紙と電子両方で)。
「書籍」というまとまった単位に綴じ(直して)出す(売る/渡す)に至るまでの思考/試行のプロセスを、断片的にでも、少しずつでも、ブログに出して置いておくというのは良い手段だと思っていて、そしてどこからかわからないけど案外と(月800〜1000人ぐらい)訪ねてくれる人たちがいるようで、閒のウェブサイト、ちょっとずつレイアウトや分類を変えたりしながら、そろそろリニューアルしたいなぁとも思ってます。その過程もまたブログやメルマガや書籍でみなさんにシェアします。https://awai.jp.net/
3. この1カ月ぐらいのこと(報告)
・9月に閒の仲間たちと公開したブログ7本(日記・詩・短歌・エッセイ)
9/16, Yuhei Suzuki, 詩,「金魚」
9/18, Yuhei Suzuki, 日記, 「かぞく日記 2023/08/01〜08/31」9/18, Yuhei Suzuki, 日記, 「人生は素晴らしい、と何度でも言うこと 2023/09/16〜09/18」
9/24, 田代智美, 詩, 「あなたへ」
9/28, Yuhei Suzuki, 日記, 「ひとつずつ取り戻す、ひとつずつ手放す」 2023/09/19〜09/26」
9/29, Yunik Shin, エッセイ, 「守護神と原風景」
9/30, Kazuyo Sato, 短歌, 「ほのあかり(短歌5首)」
・「障害学会第20回大会」ポスター発表
去る9月16日(土)9月17日(日)に、第20回障害学会大会にて、「医療的ケアニーズのある子どもと保護者の在宅生活における、保護者同士の繋がりがもたらす影響の分析 」という題で、ポスター報告を行いました(別途ポスターデータや内容をブログにまとめます)。
ちょうど生後8カ月を迎えたムスコ、最年少学会デビューです。みんなにかわいがってもらいました。私が心身ともに限界ギリギリだったので、ムスコの存在に随分守られ助けられました。
早め早めに…と、いつもそのつもりはありつつ、日々脳内と手元にメモは書き出していても、結局書き物の仕上げは直前になってしまう病気で、2週間前、1週間前、3日前、2日前、1日前、前日深夜、日をまたぎ当日深夜、そして当日早朝5時になってようやく手が動き出し、手元のメモをポスター用Keynoteに流し込んでいったものの、案の定文字文字しくなって、こんなん読みにくくてしゃあないわ、もうダメだ、最悪だ、という気分で、■とか▲とか区切り線とか入れてなんとかしようとしていたところ、ムスコの授乳がてら起きてきたツマが(彼女は僕と真逆でビジュアル表現めっちゃ得意なのでスライド作成はお茶の子さいさいなのです)「手伝おうか」と声をかけてくれ、僕はムスコの着替えや離乳食を担当し、ツマは1時間とかからずあっという間にスライドにグラフやらなんやらを入れて別物のように整えてくれたのです。
第20回障害学会大会の会場は、東大駒場の先端研で、渋谷に24時間営業、納品から3時間でA0印刷出してくれる印刷所があるのを知っていたから、当日早朝つくって入稿して、お昼前に渋谷で回収して向かえば間に合うかなという算段だったのだが、心身ともに疲弊している僕を見て、ツマが家のプリンターでA4分割印刷してテープで繋げて仕上げてくれました。おかげで2時間ぐらい寝られました。満身創痍。
・黒木萌さんがエッセイ集『祈り』をKindleで出版
2.のコラムで出版の話をしましたが、仲間たちでわいわい方法やテーマを相談しながら、一番乗りで黒木萌さんがさっそくこれまでnoteに書いたエッセイを『祈り』という題でKindle出版。私はまだです。
・NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会第19回年次総会
ここ数年、色々とお手伝い・お勉強させてもらっている、さくら会の総会が銀座でありました。ときに一緒に、ときにそれぞれに活動している仲間たちがたくさん集まっており、僕も途中でマイクでの自己紹介が回ってきたり、自由懇談の時間にみなさんに挨拶して回ったりと、後半だけでしたが、とにかく温かく優しくゆるい空間で、いるだけで心がポカポカし、安心できる場所でした。
昨年度の助成事業で、『自分らしい暮らしを創るー医療的ケアを必要とするお子さんとご家族のためのハンドブック』というものを一緒につくりました。PDF無料ダウンロード・印刷・配布大歓迎です。必要とされる方にぜひ。
・ナラティヴと質的研究会
大学院のメーリングリストでちょくちょく色んなお知らせが流れてくるのですが、前々から気になっていた、やまだようこ先生の「ナラティヴと質的研究会」のZoomに初参加しました。後半、一つ質問・相談させてもらい、これからの研究でぜひやりたいと思えるアプローチが見えてきました。こちらから誰でも入会してお知らせを受け取ることができるようです。https://www.jsdp.jp/contents/iinkai/group/narrative.html
4. これから1,2カ月のこと(お知らせ)
・10/26〜10/28「障害学国際セミナー 2023」@ソウル
韓国・ソウル行ってきます。「障害学国際セミナー」というところでポスター発表です。
大学院(立命館大学先端総合学術研究科)の学内選考が合って、それに通していただいたので、渡航費宿泊費を出していただけることに。ありがたや。このメルマガをはじめ、セミナーの様子などご報告できればと思います。
■全体テーマ
情報化社会におけるユニバーサルアクセス(Universal access in Information society)
■テーマに基づく4つのセッション(分科会)
(1) 環境:図書館の情報アクセス環境(物理的アクセスと収蔵物のメディア変換を含む)Environment: Information access environment of the library (including physical access, media conversion of collection materials)
(2) 政策:放送とメディアのアクセシビリティと関連政策 Policy: Accessibility and related policies of broadcasting and media
(3) 教育とデジタルデバイド:デバイス(インターネット、ICT、IoT等)のアクセシビリティ(情報入手過程、教育、技術的側面、障害者のデジタルコンピテンシー強化等) Education and digital divide: Accessibility of devices (including Internet, ICT, IoT...) (information acquisition process, education, technical aspects, digital competency enhancement of the disabled, etc.)
(4) 発達障害者と情報への代替的アクセス(分かりやすい表現を含む) People with developmental disabilities and alternative access to information (including easy read)
「日本の図書館における「闘病記文庫」の開設と展開」という題で発表します。先日の学内締切でひとまず日本語版のポスタースライドをつくりまして、10/14締切で英語版を仕上げねばならないところです。がんばります(これも追って詳しくブログにします)
パスポートの期限が切れていて先日慌てて申請しました。危ない。
・10/29 13:15〜18:15 「インターミディエイターフォーラム」@東京&オンライン
あいだの知の担い手「インターミディエイター」にご関心のある方々がつどう年に1度のフォーラム、今年も開催です。https://www.intermediator.jp/imf2023
“リーダーが フォロワー(消極的な指示待ち人間)を再生産する。リーダー不要論を背景に登場した「インターミディエイター」。さまざまな次元で異なる領域や言語を媒介し、カオスと協働の場から、新たな需要、関係変化、先端表現を創りだす存在です。鳥居坂・国際文化会館にて、第7回フォーラムを開催します。”
僕は4,5年前に「インターミディエイター」という概念と、その提唱者の設樂剛先生と出会い、以来、学習と実践を重ねています。この日もスピーカーの一人としてお話します。ピンと来た方はぜひ。一緒に学び合い、対話しましょう。追ってブログやFacebookでももう少し詳しくご紹介とお知らせを書こうと思っています。
韓国から帰ってきた翌日なので 30日、31日はぶっ倒れていることでしょう。
・第2回「刑務所アート展」に向けて
数年前から、受刑者・出所者支援のNPO法人「マザーハウス」の活動をお手伝いしています。理事の一人であり、友人の風間勇助さんのイニシアチブで昨年実現した「刑務所アート展〜塀の内と外との交流型公募展〜」、今年度もNPO法人マザーハウスのプロジェクトとして第2回を実施します。助成金をひとつ取れたのですが、カタログやウェブサイト制作、事務などの費用を賄うため、11月半ばごろに、おそらく、クラウドファンディングをすると思います。また次のメルマガでお知らせします。応援していただけると嬉しいです。
・ニッポン放送(FM93、AM1242)「ウィークエンド・ケアタイム『ひだまりハウス』~うつ病・認知症について語ろう」
数年前から、「対話」を通して一人ひとりのありたい姿の実現に伴走する精神科訪問看護「コモレビ」の活動をお手伝いしています。
お友達であり、コモレビを運営する株式会社ソシエテの代表である森本真輔さんが、ニッポン放送のラジオ番組『ひだまりハウス』にゲストとして出演します。https://www.1242.com/hidamari/ よかったらぜひきいてみてください。
■日時10月1日(日)午前6時25分~6時44分10月8日(日)午前6時25分~6時44分過去1週間以内放送の番組を視聴できる 「radiko」 の 「タイムフリー」機能 でもぜひ!
・映画『アリスとテレスのまぼろし工場』
居合のお師匠でもあるお友達が世界観監修に携わったアニメ映画『アリスとテレスのまぼろし工場』が上映中。https://maboroshi.movie/ 僕も今週か来週どこかで観に行くつもりです。
・11/25 17:00〜18:30 山本譲司『累犯障害者』Zoom読書会
1カ月か2ヶ月に1回のZoom読書会、10月はお休みして、次回11月です。またお知らせします。
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これを読んでくださっているみなさんも、共有したいこと、表現したいこと、相談したいこと、提案したいこと、一緒にやってみたいことetc.があれば、ぜひなんでも、いつでも、どこからでも、お気軽にお便りくださいね。
それではまた次回、(おそらく今度こそ)10月末日にお手紙を送ります。
あなたに豊かな時間が訪れますように。
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