ぽつりぽつりと言葉を歩く コトナル #11

ものを書くという、極めて非効率でまどろっこしいことを、なぜだかずっと続けている。語るに足らないわたしのことを、あえて、わざわざ語って綴って一冊にする。
閒-あわい- 2025.12.03
誰でも

メールマガジン「コトナル」に配信登録いただいたみなさま

こんにちは。 鈴木悠平です。 

前回の配信が、なんとびっくり!2024年11月8日。1年以上も間が空いてのお手紙となりました。 

どうも、お久しぶりです。

今日までの1年でまた新たに8人の方にご登録いただいたようです。 

はじめまして。せっかく登録してくださったのに全然届かないじゃないかという…すみませんです。

もう年末ですね。

みなさん、どんな1年でしたか?

これを書いてるのが12月2日で、配信は12月3日ですが、この日は僕の誕生日で、これがあなたのメールボックスに届く頃には僕は38歳になって、います。いよいよ、ますますアラフォーです。

37歳の僕の1年、どうだったかという話をします。

このお手紙を書く前の準備運動的に、歩きながらスマホで音声を録ってみたのですが、せっかくなのでこれもアップしちゃいます。以下のリンクからstand.fm(スタンドエフエム)という配信プラットフォーム上で聞けます。

聞くでも読むでも、お好みで、よかったらどうぞ。

***

いま、本を書いています。この1年はそれが生活の中心でした。

重度障害のある友人宅での介助の日々と、その外側で僕自身の身に起こったここ数年の色々を織り交ぜながら、異なる身体を生きながら交わり共にあることのさまざまを描いています。

今年、2025年に入って1月の終わりに、前からお世話になっていた出版社の編集者Aさんと久しぶりに会って、ここ数年の近況、考えてきたことなどをよもやま話をしつつ、やっぱり書かないと進めない感があり、助けてくださいと相談して、そのAさん(もう定年退職された)が担当していたシリーズの後任Bさんを紹介してくださり、じゃあ「やりましょうか」となり、Bさんは「毎月月末に会いましょう。その3日前までに1ヶ月で書けたものを送ってきてください。それを読んだ上で会ってお話ししましょう」という感じで、さっそく翌2月からそんな感じで「期日」を設けてくださったのがありがたくて、そこから1年かけて、Bさんに伴走してもらいながら、本を出す、本という形にまとめるに足るだけのものを書いていく、書きながら道を開いていくという日々でした。

いま、技術的には個人でも簡単に自費出版で「本」を出せるようにはなっていて、それはそれで良いのですが、やっぱり、強度のある一冊をつくりあげていく過程で、担当編集さんがいてくれるということは、とても大きいなと、少なくとも僕はそうでした。ずっと文章は書いてきているけど、一人で書けることをあれこれとたくさん書くだけでは足りない、積み上がらない、届かないところに登っていくのは、やっぱり一人では難しかった。

本にも色んな本があり、色んなつくり方があると思います。僕の場合は、いまつくっている本は、最初から構成だったり章立てだったりとかを逆算で決めすぎずに、断片を、書けるところから書いていきながら探していくっていうか、書きながら、自分にとって切実な、書くべきことを探していき、そして、書いて終わりじゃなくって、本を商品としていろんな人に読んでもらうに足る水準に仕上げていく、本の読者である「あなた」、たくさんのあなたたちとの接点を見出していくというアプローチです。答えも出口も仕上がりイメージも見えていない、書きながら探してく、まったく未知数の状態から、編集さんが「月1で会いましょう」という約束をしてくれたのが、まずとてもありがたかった。

そうやって、1月、2月、3月と、書けるところから書いていき、数を重ねることに、多分自分はこういうことを掘っていきたいんだなということがだんたん見えてきて、本としての舞台とか書き方とか章立てとかもだんたん見えてきました。それで途中から、ちょっと月1だとスピード上がらんなということで、「月2で進捗報告します」と宣言し、さらに翌月にはもう「毎週、書くための時間をブロックしたいので、出版社の会議室借りてカンヅメになれますか」と相談して、週2ぐらいで部屋をおさえてもらい、高尾から本郷まで1時間半ぐらいかけて通って原稿を書く、というモードに移行しました。なかなか、書いていてしんどいエピソード、痛みを伴うものもあり、筆が進んだり進まなかったりでしたが、捗ろうと捗るまいと、とにかく毎週コンスタントに、書くための時間と空間を強制的に設けるという、環境をつくったのが良かった。

いま、全体でいうと山の8号目ぐらい。 僕が書くべき、書きたい、書こうと思っている話を1章ごと、行ったり来たりしながら書き進めていって、だいたい書き上がって、あと残り1章分ぐらい、いま書いているものがあり、それをピースとしてはめるとひとまず初稿というか、最初から最後まで、本1冊分のものになる。あとはそこから9合目、編集です、全体をブラッシュアップして、イラストとかデザインとか校正校閲とか、本という形に仕上げていくラストスパートが12月1月2月、出版できる、お店に並ぶ、みなさんに届けられるのは3月が現実的かなというイメージです。1月に編集さんと会って動き出したときは、年末、38歳になる頃には出版発表できるぐらい、1年間のプロジェクトだという目標を自分のなかで立ててみたのですが、実際に書いてみるともう少し時間がかかりましたね。でも、1年でだいたい書き上がった、特に、一番しんどい、でも、書くべきことを書けた、というのは手応えがあって、よかったなと。

ものを書くという、極めて非効率でまどろっこしいことを、なぜだかずっと続けている。腹も膨れないし儲かりもしないし、みんながみんなやらなくてもいい仕事であり、他にも世の中に大事な仕事はたくさんあり、みなさんそれぞれでそれぞれに役割を担っていらっしゃるのだが、どうやら僕は結局書いていかないと生きていけないようで、いや、生きるだけならできるんだけど、ちゃんと生きる、善く生きるためには、書いて生きていくしかないようです。語るに足らないわたしのことを、あえて、わざわざ語って綴って一冊にする。なかなか大変だけど、書いたら書いた分だけ、供養して前に進めるような感じです。

そんなわけで、今年は本を出すぞという目標で書いていくことが中心の一年となり、それが良いリズム、メリハリ、エネルギーを生んでくれたように思いますが、その他の近況をつらつらと。

***

・高尾に引っ越して2年目。だいぶ慣れてきました。家族4人、達者で暮らしています。
・中年太りに抗うためにパーソナルトレーニングに週1で通っている。みっちり追い込まれている。
・今年は鬱がひどくなって寝込んだりとか、大きく体調を崩したりとかがなかった。久しぶりに、比較的安定したメンタルの1年。

・仕事はリモートや在宅やカフェで完結することが多く、クライアントワークなどでは都会の方に出ていったり別の都道府県に出張したりが多いのですが、八王子〜高尾、中央線沿いでもう少しローカルなつながり、場、仕事を増やしていけるといいなと思っています。自然体でかまえていますが、なにか面白そうなことあればお声がけください
・割と予定に融通は効くので、みなさんの街に出向いて一緒に歩いたり遊んだりもしたいです。なんかあればお招きください。

・本の舞台でもありますが、引き続き、重度訪問介護を中心に、一人ひとりが、自分の身体と、地域と、かかわりによって生活をかたちづくるプロセスに携わっています。介護事業者さんの運営支援だったりコーディネートだったりプロジェクトだったり調査研究だったり政策提言だったりあれやこれやです。
・僕がかかわっている利用者さんや友人も含め、全国各地、ヘルパーさんはいつでも人手不足、募集中です。介助の仕事、関心ある方はぜひご連絡ください。

・僕がヘルパーをしていた友人の愼允翼くんは、無事大学院修士課程を終えて新しい職場で活躍しています。彼の近況リンクと、二人でつくった対談本『介助とヒーロー』の情報を貼っておくので、よかったらどうぞ。誕生日祝いに一冊買ってください笑

・刑務所アート展が3年目となりました。5-6月に墨田区京島で展示をし、過去最大の1700人を超える方に来場いただきました。感謝
・運営団体のPrison Arts Connetionsを法人化し、風間勇助さんと僕が共同代表理事、そして詩人の上田かなよさんに理事になっていただきました。
・府中刑務所、和歌山県立図書館、MoMoBooksさんなど、各地でのコラボ展示も実現しました。来年もまた新しい展開があるので、お楽しみに。
・Webサイトのギャラリーページで作品をアーカイブしています。また、作品カタログやグッズもオンライン販売中です。コメント欄にリンクを貼りますので、覗いてみてください。
・非営利の活動で、みなさんの寄付と助成金に支えられています。Syncableで常時ご寄付を受け付けております。ご無理のない範囲で、ご支援いただければ幸いです。

他にもあったかな。なんだろう。ゲーム、アニメ、マンガか。ずっとロマサガとペルソナやってる。人生。ジークアクス面白かったけどやっぱり∀とGレコが好き。人生。

***

メルマガを書くのが1年ぶりになってしまったのですが、でも、お手紙のように皆さんと通信したいなというのがあってはじめたのがこの「コトナル」で、今後どういうペースになるかわかりませんが、続けていきたいと思ってます。

お手紙ですので、みなさんからも、よかったらいつでもご連絡ください。 

「書く」ことはこれからも僕の人生の中心になるのですが、書く前後に、書くことと行き来しながら、「語る」形式も良いなということで、ラジオ的なものをこっそりぼそぼそはじめてみました。

stand.fm(スタンドエフエム)というアプリで配信しています。

番組一覧:

「作家ってなんだろう」

つくること、つくったこと、つくるプロセスについてあれこれ語る

「閒(あわい)日記」

作家の日記

「寝るまえ本棚」

寝る前に15分から30分ぐらい、いま読んでいる本から一冊選んで、印象に残ったところを引きながら話します。

***

あとは、なんの話をしようかな。大学の前期教養課程で船曳建夫先生のゼミに入ってたんですけど、先生が1,2年に1回、オールゼミパーティーって言って、ゼミ生みんなが集まる会を催してくださっていて、それが先月末、11月29日に、一応最終回となりました。

僕も含めて子育て世帯も増えて、子どもたちもいる中で、ゼミ生みんなで食べたり喋ったりだったんですけど、先生が最後、「関係」について、お話をされました。

ぼくとあなたが関係したということは、消えない、この場に来るかどうかとか会う回数が多いか少ないかとか連絡取れるか取れないとかはまったく関係なくて、それこそぼくはみんなより先に死ぬけれど、肉体が滅びようと、関係したということは消えない、関係はあるんだ、と、そういったお話でした。

うん、ほんとにその通りだなと思って。

僕の仕事の重度訪問介護業界では、毎年のように誰かしらが旅立っていき、今年も、岡部宏生さんという、ALSの、みんなにとってはほんとうに大きな存在であった方が先に旅立っていかれました。

それから、僕にとって恩師と言える人は、船曳先生ともう一人、大学院の立岩真也先生という方がいて、立岩先生も、亡くなってもう2年が経ちました。でも、船曳先生の言われる通り、関係は消えない、全然消えていない、それは強がりでもなんでもなく、ほんとに事実としてそうなんですよね。関係は、ある。

このメルマガ「コトナル」に登録してくださっている方の多くは、一度僕と何かしら会ったりやり取りしたりしたことがある方かなと思います。でも、もともとの知り合いだけでなく、登録メアドを見てもどなたかわからない、きっとなにかのきっかけで僕の文章やこのメルマガのページに辿り着いてくださって、なにか重なるものがあったのか、登録してくださった方もおられるわけですよね。

この1年、会ったりやり取りしたりした方も、そうでない方も、みなさん、どんな1年でしたか?(まだ1ヶ月ありますけど)

僕に何ができるってわけでもないですし、どんな1年だったかも皆さんそれぞれだと思いますけど、ただ、ここにあなたと繋がっている、 私が1人いますということ、そう、関係してますということは、うん、確かです。

いつでも、何かあれば、何もなくとも、ご連絡くださいね。と同時に、お便りがあろうとなかろうと、元気でも元気じゃなくても、関係なく、関係しています。

はい、そんな感じで、1年ぶりの閒・鈴木悠平のメールマガジンでした。

「コトナル」は、異なる/個となる/co-となる(協働)/隣るなど、 いろんなものを掛けた言葉遊びです。

また、いつになるかわかりませんが、お便りを出しますね。

***

鈴木悠平 作家/インターミディエイター®(Author/Intermediator®)

閒-あわい-

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